先天性心疾患
《心室中隔欠損》
心室中隔欠損は最も頻度の高い先天性心疾患の一つです。その頻度は出生1000人に1.6人と報告されています。心室中隔欠損は傍膜様部心室中隔欠損、筋性部心室中隔欠損、動脈下漏斗部心室中隔欠損の3種類に分類されますが、その中でも最も多いのが傍膜様部心室欠損です。傍膜様部心室中隔欠損の特徴は、欠損孔の後下縁が中心線維体と連続する線維性構造となっている点です。心エコー図検査は心室中隔欠損の解剖を詳細に評価できます。この動画は傍膜様部心室中隔欠損の大血管基部短軸断面に相当しますが、欠損孔の背側には筋成分がなく線維性構造であることが分かります。カラードプラ画像では、心室中隔欠損孔を介して左室から右室に短絡血流が吹き出しているのが分かります。短絡血流が多いと乳児期早期に肺鬱血を来たし、多呼吸、哺乳力低下、または体重増加不良などの症状を呈します。約半数において自然閉鎖することがありますが、症状が強い場合や肺高血圧を合併している場合には手術による欠損孔閉鎖が必要となります。